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May 12, 2007

『フューチャリスト宣言』

梅田望夫氏と茂木健一郎氏の対談
『フューチャリスト宣言』。

メッセージは明快です。
「未来を創ろう!その未来は明るい」。
ネットの存在はかくも大きい。

(この本はやはり『ウェブ進化論』、『ウェブ人間論』、
 そして『意識となにか』を読んでから読むほうが、
 理解が深まるだろうし、いろいろ伝わってくるでしょう。)

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この本のどの部分について書こうか。
読み終わったばかりでまだ消化しきれていないところもあるし。

それに梅田氏が「おわりに」で、
「この本は、細部をつついて批判するのがバカバカしいような明るい本となる」
とも書いているから、ちょっと書きにくい。

そもそも共感するところが結構多いし、学ぶところも多い。

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でもいまの私には、
「大学はもう終わっている」
というくだりはやはり見過ごすわけにはいかない。

(「昔の大学は終わってなかったの?」というわりと
 シニカルは問いはおいておいて。)


二人の議論。

大学で少人数を相手にすこしづつエネルギーをつぎ込む教育を行うよりも、
徹底的にネットを活用し、そこに全エネルギーをつぎ込む教育のほうが
圧倒的に効率がよいということ。
学ぶほうにとっても、とことん突き抜けるための可能性がネットに
開けているということ。
可能無限な知の広がりをそこに見つけることができるのだから、
選択していくこともふくめて、どんどん学んでいけばよいのだということ。

これらはおそらく、一面で真実であろうと思う。


でも。
彼らの議論は、おそらく彼ら自身がそうであったであろう、
高校の時点で「出来上がってちゃってた人たち」、
あるいはすでに自力で「学べる人たち」を前提としすぎてはいないだろうか。
そういうことができるのが当たり前という意識が強すぎていないか。
世界のトップの研究者や技術者,経営者にならんとする人たち
なんかを念頭に置きすぎているのではないか。


「ロングテール」が輝く世界を支えるのは、おそらくそういう人たちだけではない。
高校を卒業したくらいの時点で、「ネットの世界で好きなこと自由に学べ」と
言われて、多くの人が何を学べるというのだろう。


我々は、選ぶ(問う)意識、選ぶ力、その方法、
それから外に目を向けるためのヒント・・・
を伝達する任務をおっている。
そして、そうした学びのプロセスそのものが、
生の力に直結することを伝達する任務をおっている。
(学びが生きるうえで意味がある。
 こんな明らかなことが少なくとも高校生にとって、いや、
 一般の多くの人にとってに、なかなか自明ではないのでは?)

そして、それはネット上に、
そうしたことを伝える文章や動画が山ほどあるよりも、
やはりリアル空間での交流を通したほうが、
あるいはリアルとネットの両方チャネルを通した立体的交流のほうが
よりよく伝えられるのではないか、と私は思う。
たとえ何万という人には伝えられなくても。

そしてそうした教育は、そのままリアル空間での
コミュニケーション力にもつながる。
(選ぶ力あるいは意識、そしてコミュニケーションについては、
 この本の著者の二人がその重要性を語っている通り。)

やっぱり
大学はそれを伝えなければならない。
 
 
この点についての著者たちの議論は、へたをすると
大学の存在価値について、誤解させてしまう可能性があるように思うのだけれど。
みなさん、どうでしょう?こんなふうには思いません?
(ただし、現状の中等教育が全面的にかわれば話は別かもしれないけれど。)


でもきっと彼らもこの議論そのものにはとくに異論はなんだろうな。

  
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もうひとつだけ。
この本、編集者の人すごく気合はいってます。たぶん。

章の見出し、節への分け方・見出し、とてもよく考えられているし、的確。
だから読み終わったときの目次の価値がに高い。
(これは編集者だけではなく、両著者によるものかもしれないけれど。
 でもすくなくとも茂木さんの新書にくらべてぐっと構造化されているような印象。)

お疲れ様です。

(修正あり)

[ 教員 ]
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投稿者 53 : May 12, 2007 01:22 AM
コメント

『意識とは何か』よりも、『「脳」整理法』
のほうかしら。

Posted by: 53 at May 14, 2007 12:08 AM
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