視覚的な記憶は時間とともに輪郭がにじみ、
焦点を定めようとすると逃げ、
全体の印象だけがゆらゆらと保存される。
嗅覚的な記憶は、
自発的に想い起こすことはできないけれど、
変形はせず、そのにおいをかいだ瞬間に
鮮やかに復活する。
味覚的な記憶、触覚的な記憶、
きわめてかすかであるか無きか。
聴覚的な記憶は
もっとも強くしなかや。
手をつないだときの
指がすうっとなじんで
いつまでも包まれていたい感じや
髪の毛に触れたときの
思いのほか やわらかな感じとか。
背はもう大人と同じくらいになっていても
ぎゅっと抱きしめたときに骨っぽくて
まだ男の子と変わらぬ 硬質な少女とか。
思うと 触覚の記憶は
私には いとおしいものばかり。
幻想的なコメントですね。
わたしは触覚の記憶が
弱いのかもしれません・・・。