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December 24, 2006

気になる本 -6-

約2年ぶりにこんなタイトルをつけてみました。

梅田さんと平野さんの『ウェブ人間論』。
やはり書いておこうと思う。

ネットは人間にどのような変容をもたらすかが基本テーマ。
 


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対談という性質上、
やはり『ウェブ進化論』ほど内容がわかりやすく「構造化」されてはいない
(いや、対談にしてはかなりされているほうだ)。
でも我々が考えるための種が多くちりばめられている。

私がとりわけ興味深く感じたのは、人の魅力に関する議論。

人の魅力には、ネットによって伝達可能な部分(A)と
伝達できない部分(あるいは伝わりにく部分)(B)があるという視点。

ネットは差を大きく増幅する装置なのであるから、
前者(A)が後者(B)にくらべて圧倒的に大きなものであるならば、
その差が増幅されて、
「格差社会」が到来するであろう、というように展開されていく。
魅力の格差社会。

(A)と(B)の量的比率は?という梅田さんの問いは素朴なものであるけれど、
魅力格差という問題提起は有効なものかもしれないと思う。

平安時代に貴族の社会において
短歌というメディアは、もしかしたら同じような意味合いをもっていたのかもしれない。
そう、ネット上のコミュニケーションは
短歌的コミュニケーションに似ている部分があるように思っていた。
実際、『ウェブ人間論』は、この問題を教養とも関連付けて論じている。

では(A)には、どんな魅力あるいは能力が含まれるのだろうか?
もちろん、言語使用能力がある。
表現力。読み取る力。少ない情報から「場」を感ずる能力・・・。
でも言語能力だけではない。
そもそも言語化されるコンテンツを生み出すための、
感性、論理構成、問題意識などももちろん重要。
いやそれ以前に、ネット上での能動性、責任感、体力、・・
こういったものもネットによって増幅されうるであろう。

この議論を、教育と関連して考えてみることが重要だと思う。
教育場面にブログ・SNSをいかに活用できるかは面白い課題でありつづけるけれど、
学生間・メンバー間に格差をもたらすことになる可能性もあるということだ。
だから意識的に、(A)の能力を伸ばすようなプログラムを考えることが
求められるのではないか?
そしてそれは非常に効果的な教育になりうるのではないか?

でもどうやったらいいのだろう?
楽しそうな課題です。
来年の基礎ゼミで考えてみようかしら。

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クリスマス。
だから2006年という年もあと1週間。
はやいなあ。


(修正あり)


[ 教員 ]
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投稿者 53 : December 24, 2006 03:19 AM
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